第162章

 丹羽光世は曲がりくねった山道で多方向から襲撃を受け、生死の境を彷徨った。だからこそ、「目には目を、歯には歯を」のやり方で、丹羽邦義と元祐の親子にも、死の淵に立たされる絶望を味わわせてやるつもりだった。

「兄貴、早くこの四匹の獣どもを止めてくれ」

 丹羽邦義は、以前のような温厚で上品な紳士の面影などとうに失っていた。服は無惨に引き裂かれ、腕や胸には鋭い爪でつけられた生々しい血の痕が刻まれている。

 巨大な体躯を持つチベタン・マスティフが一頭、丹羽邦義の体の上にのしかかり、容赦なく牙を剥いて噛みついた。

「ぎゃあぁぁっ!!!」

 丹羽邦義の悲鳴が絶え間なく響き渡る。

 丹羽元祐も恐...

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